人間ドック・健診Q&A

基礎知識や施設選び・受診のコツ、検査結果の活かし方まで人間ドック・検診にまつわる、気になること、わからないことを集めました。

Q

がんは予防できますか?

がんになりやすい人、などハイリスク群はあっても、がんの予防法はないのでしょうか?

Aがんの発生は生活習慣と密接な関係にあり、喫煙などの生活習慣ががんの発生の原因と考えられているのです。 現在、国立がんセンターより、がんを防ぐための生活習慣の見直しが発表されています。


<がんを防ぐための12カ条>

1.バランスのとれた栄養をとる
2.毎日、変化のある食生活を
3.食べすぎをさけ、脂肪はひかえめに
4.お酒はほどほどに
5.たばこは吸わないように
6.食べものから適量のビタミンと繊維質のものを多く摂る
7.塩辛いものは少なめに、あまり熱いものはさましてから
8.焦げた部分はさける
9.かびの生えたものに注意
10.日光に当たりすぎない
11.適度にスポーツをする
12.体を清潔に

食生活が中心ですが、いずれも決して難しいことではありません。現在の生活習慣病の中で、もっとも死亡率が高いのが、がんだと言われています。がんは、自覚症状が出にくく、症状があっても見逃すことが多いのも特徴です。まずはできることから始めてみてはいかがでしょうか。
Q

がん予防によい食べ物は?

がん予防に、オレンジなどのかんきつ類を食べるとよいと聞いたのですが、ほかにはどんなものがよいのですか?

A何かひとつか2つ、これを食べれば決定的にがんを予防できる、という食物はそんなに多くありません。

大豆に含まれるイソフラボンは、エストロゲン(卵胞ホルモン)の受容体にくっついて、エストロゲンの働きを阻害するため、エストロゲンの影響を大きく受ける乳がんの予防には効果があると言われています。また、魚に含まれるDHAが、大腸がんや乳がんの予防に効果があるのではないか、と注目されています。愛知県がんセンターの研究で、DHAの血中濃度が高い人は大腸がんや乳がんのリスクが低く出ました。DHAの血中濃度が高いと、ある種の炎症の程度が軽くなる作用があります。炎症とがんは関係していることがわかっているので、がん予防に注目されている成分です。


<控えたい食品>

反対に、摂りすぎるとがんリスクを高めてしまう食物もあります。 炭焼き、スモークなどを行った保存・加工肉(ハム、ソーセージなど)は大腸がん、塩漬けや漬物など塩辛いものは胃がん、熱い飲み物は喉頭がん、口腔がん、食道がんのリスクをそれぞれ高めると考えられています。 また、アルコールの飲みすぎは口腔がん、喉頭がん、咽頭がん、食道がん、肝臓がん、乳がんのリスクを高めます。
Q

バランスのいい食事ってどういう食事のこと?

健康のためにバランスのいい食事が必要なことはわかるのですが、具体的にはどういう食事を摂ればいいのでしょうか。

Aバランスのとれた食事は、健康を維持するうえで欠かせないものです。本来“栄養バランスのよい食事”というものは、身長・体重・運動量・体質・体調などによって一人ひとり必要な栄養素の量が違うものです。栄養に関する書籍やインターネットの情報などを参考に、自分自身に適した食事内容を考えてみるとよいでしょう。
栄養バランスのよい食事の摂り方を説明するとき、よく4つの食品群の話をします。

第1群 乳・乳製品、卵
第2群 魚介、肉、豆・豆製品
第3群 野菜(きのこ、海藻類を含む)、芋、果物
第4群 穀類、砂糖、油脂

これらを1品ずつ組み合わせるだけでも、ずいぶん栄養素の偏りは減ります。
主食となるご飯やパン、麺類と、肉や魚のメインのおかず、副菜に野菜料理を1品、それからデザートにヨーグルトなどでもいいと思います。例えば、お昼に牛丼屋さんに入ったら、牛丼に卵を付けて、サラダや煮物などの野菜料理を一緒に注文すれば、4つの食品群が摂れるというわけです。野菜はできれば生野菜ではなく加熱したもののほうが量をたくさん摂ることができます。
食事のバランスのとり方について、もうひとつ、「長い目で見る」というコツがあります。
1食の中でバランスのとれた食事ができなかったとしても、1日のうちで帳尻を合わせればいいし、1日で無理ならば1週間で考えてもいいと思います。例えば、夜に焼肉をたくさん食べてしまったら、次の日やその次の日には魚や野菜中心の食事にし、おやつを1日ガマンしてみる、というように調整できるといいですね。